ジャズっぽい

おすすめのジャズの曲を紹介致します。

ラモン モリス の SWEET SISTER FUNK

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ラモン・モリスの“SWEET SISTER FUNK”を聴きました。
これを買ったのは今から10年くらい前です。
10年前といえばP-VINEがグルーヴマーチャントのソウルジャズ、ジャズファンク系のタイトルを続々とCD化していた頃。
当時の私は給料の多くをこれらCDを買うことに費やしていました。

このCDに添付されている原田和典氏のライナーノーツによると、ラモン・モリスはとにかく情報が少ないプレイヤーのようです。メンバーとして参加したアルバムも数えるほどとか。ましてやリーダー作となると、本作が唯一ではないでしょうか。
まさに知る人ぞ知るサックス奏者といった趣です。

このように謎めいたプレイヤーによるアルバムですが、その内容はファンクネスあふれる快作です。どこかこもったような音質はこのレーベルならでは、といったところでしょうが、それが悪い方には働かず、むしろ独特の雰囲気作りに貢献していると思います。最後に収録されているのはmadlibなどにサンプリングされている曲かと思うのですが、詳しく方がいらしたら教えてください!


このSWEET SISTER FUNK、「もっといろいろと録音を残してほしかった」と思わせる、とても魅力のある作品です。


なお、このCDと同時に買ったラリー・ウィリスの“INNER CRISIS”もこれと同じグルーヴマーチャントもので、よく聴きたくなる好盤です。

ボーズオブカナダ Tomorrow's Harvest

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ボーズオブカナダの“Tomorrow's Harvest”を最近よく聴きます。
以前に“Music Has The Right To Children”のことを書いたとおり、それも好きでよく聴くのですが
この“Tomorrow's Harvest”の最近の再生回数は“Music Has ~”よりもかなり多い気がします。

それまでのボーズオブカナダらしい雰囲気をまとったこの“Tomorrow's~”は革新とは無縁かもしれません。
技術的なことはわかりませんが、新しい要素はほとんど無いと思います。
でもボーズオブカナダらしさを味わいたくて購入したのがこのアルバムで、結果として
その「らしさ」に満ちたこのアルバムにとても満足しています。

「らしさ」とは不気味さ。
混線したラジオから聞こえてくる雑音まみれの海外放送のような雰囲気があります。

聴くのはもっぱら夜で、布団にもぐりこんで小さい音で聴くのが一番好きです。
風呂につかりながら聴くのもよいかもしれません。
決して癒しの音楽にはなりませんが。

それまでのアルバムに比べ、全体を通して一環したイメージが貫かれているのがこの“Tomorrow's”の特徴のような気がします。
1曲ごとの切れ目はあるのですが、アルバム通して最後まで一続きでゆっくりと流れるような印象を受けます。
だから「この曲が良い」というふうに切り取って捕らえることが出来ません。

あいかわらずの「不気味さ」が心地よいこの“Tomorrow's~”、まだまだこの先も聴いていくことでしょう。

Clark(クラーク)のIradelphic

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暖かくなってまいりました。
「春は寝て良し、食べて良し」とはこの時期に私がよくいうフレーズですが、
そんなオールマイティーな時期になってきて、嬉しい限りです。


布団をかけて暑くもなく寒くもないこの時期、なんとも良いものです。
眠れるからか、食欲もとどまらないことといったら、もう!

そんなこんなですが、買えるものは買おうと思い、
いくつかCDを購入してみました。

 

まずはClark(クラーク)の“Iradelphic” 。
クラークのことは、最新作“Feast/Beast”が以前にタワーレコード
わりと大々的に紹介されていたのを見て知りました。
でもそのジャケットの意味不明っぷりに、試聴もせずにスルー。
過去にイマイチ馴染めなかったAphex Twinの“Richard D James Album”
に通じる凶器を感じたため、手が伸びませんでした。

でも、気になってはいました。
タワレコ視聴棚には「待望の新作!」とか「最高傑作」「今回はリミックス2枚組」
Warpの若大将」といった宣伝文句とともにCDが平積み。
きっと只者ではないはずです。
CDなど売れなくなって久しいというのに、破格の扱いではないでしょうか。

でも私からすれば「誰?」
ということで調べてみました。
以前はClice Clarkという名義で活動していたそうで、何年か前のアルバムについては
くるりの岸田氏も絶賛していたとか。

私はくるりはあまり聴かないのですが、以前に彼らがやっていたJ-Waveのラジオ番組
“Oh My Radio”は良く聴いていて、彼らが紹介するジャンルレスの音楽を
興味深く思っていました。たとえばBlad Mehldauを紹介したかと思えば
「Commonも聴いている」「SlipKnotだけは良い」なんて言っていたり。
そしてそのどれも私の感覚に合いました。

くるり岸田氏がいうなら間違いない」
ということで、買ってみました。
でも、話題になっている新作を買うのはどこか気恥ずかしいので、
少し前のものを選択。それが“Iradelphic”でした。

ジャケットから想像していた無機的な感じはあまり強くありません。
むしろソウルやファンクの気配があり、思っていた以上に耳馴染みが良い。

いまのところ一回しか聴いていないので、この程度の感想しか持ちませんが、
これからも聴き続ける予感があります。
追って報告いたします。

なお今回同時に購入したものは、
・Nick Rosen “Into The Sky”
・Fabiano Orchestra “Butterfly Island”
・Donaldo Alexander Strachan “Soul Translation”
Four Tet “Beautiful Rewind”
・Messengers Incoporated “Soulful Proclamation”
Tortoise “Standards”
Manitoba “ Up In Flames
・Heliocentrics “Fallen Angels”
などなど。
Manitobaはかなり良かったです。

ご静読ありがとうございました。

 

Sparklehorse

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今日はSparklehorseについて。
4枚あるアルバムのなかでも Its A Wonderful Life に触れてみようと思います。

ほぼ、マーク・リンカスによるソロプロジェクトSparklehorse
いろいろな楽器を自分1人で演奏・録音していたみたいです。
自分でいろいろ演ってしまうあたり、Beck や Edan のような
オタクっぽいこだわりも持っていたのかもしれません。


Its A Wonderful Life は Sparklehorseの3枚目のアルバムで、
彼のアルバムのなかで私が初めて手にしたCDです。
Radioheadトム・ヨークが認めた」みたいな帯が
掛かって売られていたのを多摩センター駅近くの新星堂で発見し、試聴。
当時、大学三年くらいだったと思いますが、他に聴いたことのない
繊細な雰囲気に誘われて、このアルバムを買いました。
(思えばあの新星堂にはかなりの投資をしました)

繊細、幽玄、憂鬱、セピア色、狂気、若干の希望。
毎度おなじみ、フレーズによる感想です。恐縮です。
ノイズの多いレコードから聴こえてくるかのような1曲目から、
アルバムの雰囲気は深く沈みこんでいきます。
時おり明かりが差しますが、基本的には鬱屈した空気。
日曜日の午後によく馴染む音です。
曲調だけでなく、曲順もこの雰囲気作りに大きく貢献していると思います。

この感じが Comfort Meで変わります。
どんよりと立ちこめた雲をかき分けて降ってきた光のイメージ。
明るい曲調に、泣き出しそうな言葉。
報われた気になります。
名曲!

このアルバムを皮切りに、1枚目のvivadixiesubmarinetransmissionplot、
2枚目のGoodmorning Spiderをまとめて購入。どちらもすぐさま好きになりました。

そして4枚目のDreamt for Light Years in the Belly of a Mountainも発売早々に買い、
Sparklehorseは健在だと安心していました。

しかし2010年3月にリンカス死去のニュース。
今だに残念でなりません。
新作を心待ちにしていた数少ないミュージシャンでした。
存命、現役の人の音楽を追いかけたのは初めてだったので
力が抜ける思いでした。

湿っぽくなってしまいました。
そして外にはうんざりするほどの湿った雪が!
天も泣いておるわ!

ご静読ありがとうございました。